マスターコイン

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マスターコイン (Mastercoin)は、電子通貨及び、通信プロトコルの名称で、稼働中のビットコイン・ブロックチェーンの上に作られ、ビットコイン・システムを拡張し、単に通貨だけではなく、より複雑な金融的な操作を行うためにビットコインを拡張する目的で作られた。目標として、分散型の電子通貨交換所を実現することが上げられており、2013年11月に実際にビットコインを売買する実験が行われ成功している。2014年3月15日に、交換所が実働する予定になっている。

歴史[編集]

J. R. Willetが2012年1月に、最初のマスターコイン・プロトコル案を論文として出版した。この中で彼は、実働中のビットコイン・プロトコルを、「プロトコルの層として使うことが出来て、ビットコインの基礎を変更することなく、その上に新しい通貨の層を作り出すことが出来る」とした。

マスターコイン・プロジェクトは、正式には2013年7月に開始して、誰でもマスターコイン通貨を買うことが出来る基金調達を約ひと月に渡って実行した。これは、寄付するビットコインを、特定の「国外脱出(エクソダス)アドレス」に送金することで行われた。寄付の金額に対して発行されたマスターコイン通貨は、ビットコインの送金元のアドレスに送られ、ビットコイン・アドレス上に記録された。

仕組み[編集]

単純に言うと、既存のビットコイン・プロトコルを変更することなく、ビットコイン・システムを拡張して、スマート・コントラクト:契約 (スマート・プロパティ:所有)などのより高度な処理できるようにしたのが、マスターコインという仕組みである。

更に、マスターコインとしての独自のブロックチェーンを開始すること無く、既存のビットコイン・ブロックチェーンの上に決済のデータが書き込まれ、ビットコインと共存している。すなわち、「実働中のビットコイン・ネットワーク上に、マスターコイン層」を実現している。

マスターコイン層の上の、コントラクトを利用して、独自の通貨を実現することができるが、最初に実現されたのが、マスターコイン通貨である。

マスターコイン層[編集]

マスターコイン層は、実際のビットコイン通貨が置かれている、ビットコイン・ネットワークのブロックチェーン上で動いている。2014年初頭の段階で「1兆円の価値を乗せて実働中の信頼あるビットコイン・ネットワーク」を下の層として、その上の層に存在している。

マスターコイン層の決済(トランザクション)は、ビットコイン通貨の決済として発行される。その決済のデータにマスターコイン層専用のプロトコル・データが乗せられている。

これは、インターネットの基本であるTCP/IPが、単純なデータ送信をするIPを下の層として、その上にTCPを「IPを使ってより高度な通信をする上の層」として実現されているような感じに例えられる。

ビットコインに似た独自通貨が多くあり、マスターコインを同様の独自通貨と混乱しないように、単に、Mastercoinと書くよりも、Mastercoin/Bitcoin と書くと誤解が少ないかも知れない。

「マスターコイン層やマスターコイン通貨の独自のブロックチェーンは存在しない。存在するのはビットコインのブロックチェーンだけ」である。

それ故に - マスターコイン層の決済(トランザクション)の手数料はビットコインで支払う。 - マスターコインのマイナーは存在せず、ビットコインのマイナーがビットコインのブロックチェーンを運営しているだけである。 ビットコインの利用者や運営者(マイナー)は、マスターコインについて知っている必要はなく、単純なビットコインの処理をしているだけとなる。

コントラクト[編集]

コントラクトとして、「マスターコイン層の上に、法定通貨:円やドルを乗せることが出来る」というのは、結果的に、ビットコイン・ネットワークの上に、法定通貨を乗せるということになる。

コントラクトに「法定通貨を乗せる」とは、法定通貨を保管している任意の人が、その法定通貨のマスターコイン・コントラクト(契約=プロパティ:所有)を作って、マスターコイン層の上のトランザクションで、法定通貨の所有者を移動する。

その法定通貨の所有者が、その法定通貨のコントラクトの発行者に要求したら、その法定通貨を出金することが出来る仕組みである。

法定通貨の入金についても同様で。任意の自分が信頼する法定通貨のコントラクトの発行者に、法定通貨を送金して、自分の所有としてマスターコイン層の上のコントラクトの上での、相当の金額の所有者にしてもらう。

決済(トランザクション)[編集]

マスターコイン層の決済(トランザクション)は、ビットコイン・アドレス間で行われる。これは、ビットコイン通貨の上に、おまけの情報が書いてあり、それがマスターコインの情報になっているというイメージになる。

「マスターコイン層の決済」は、「ビットコイン通貨の決済として、ビットコイン・ネットワーク上の決済として実行される。

それ故に、マスターコイン層の決済の手数料は、ビットコインで支払って、それはビットコイン・マイナーが受け取る。

マスターコイン(通貨)[編集]

マスターコインという名前の通貨も存在し、マスターコイン層の上で送金できる。MSCと表記される。しかし、これは一般的な暗号通貨のようにマイニングするものではなく、マスターコイン・プロジェクトへの寄付金に応じて送られるものである。

このMSCは、相場があり、Masterexchange.com でビットコインとの交換が出来るようになっている。

(筆者は、マスターコイン通貨の意味をよく理解してません。言ってみれば、マスターコイン・プロジェクトの株券みたいな感じですが、株主だからって、何かの特典があるような説明は見ていないです。取引する意味は何なんだろう??と思っています)

他の暗号通貨との比較[編集]

ビットコインを拡張する試みとして、「カラード・ビットコイン」がある。これは、ビットコインのソフトウェアを改造・拡張して、スマート・コントラクトを実現する。

マスターコインは、スマートコイン以上の機能を実現することが出来る。例えば、その上に、通貨の取引所を実現することが出来るようになっている。

マスターコインは、イーサリアム(Ethereum)ほどの複雑で高度なことはできない。これは、ビットコインの決済スクリプトが実行出来ること以上のことが出来ないという制限のためである。イーサリウムは、制限のない処理を出来るような決済スクリプトを記述することが出来る。

マスターコインと、イーサリウムを比較する時の長所は、「ビットコインの仕組みを複雑にすることなく、ビットコインの仕組み(ネットワークやソフトウェア)はシンプルなままで、ビットコイン・ネットワークの上で、より複雑なことが出来るようにした」ということである。

すなわち、ビットコインを、マスターコインが拡張したが、ビットコインの信頼性には手を触れていないという事を意味する。

また、通貨としても、ビットコインとは競合せず、マスターコインが栄えるという事は、ビットコインが栄えることを意味する。

現在開発中のイーサリウムが完成して、安定して動き始めると、そちらに重みが移って行く事も考えられる。

ビットコインとの関係[編集]

ビットコイン・プロジェクトも、マスターコイン層が、コントラクトを実現しやすいように、複雑ではない機能拡張などをしている。マスターコインがコントラクトを実現中に、ビットコインが複数署名(MultiSig)の機能を提供するようになり、この機能の単純な応用として、エスクロー(第三者預託)があり、マスターコインは、コントラクトを実現するために必要なエスクローの実装を独自にする必要がなくなった。

実働中のビットコインの上に、マスターコインを乗せることに対しては、賛否両論がある。反対する理由として、ブロックチェーンが大きくなりすぎることがある。面白いのが、 「もし、ビットコイン・マイナーが、マスターコイン・ネットワークのトランザクションを拒否するようになったら、いつでも、他のコインの上に動的に移動することが出来る」と説明している。

なお、マスターコイン層に今後作られるアプリケーションのデータが大きくなり過ぎないように、ビットコインはトランザクション・スクリプト用の命令を拡張して、80バイトの任意のデータを組み込めるようにした。 マスターコインのデータは、そこに置かれることになり、80バイトの制限が付けられた。これは、ブロックチェーンの増大を防ぎつつ、マスターコインをサポートする目的になっている。

また、マスターコインの利用者は、ビットコインにタダ乗りをしているのではなく、ビットコインで手数料を払っているため、ビットコイン・マイナーの収入が増えることになり、マスターコインのデータをマイナーが拒否する理由も幾分少ない。

外部リンク[編集]